墓前祭と記念講演会(平成10年) 平成10年墓前祭

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墓前祭と記念講演会

 平成10年5月21日。二戸市の祖霊社において、故田中舘愛橘博士の墓前祭がおこなわれました。
 昭和27年(1952年)5月21日に田中舘愛橘博士がお亡くなりになってから、46年めの5月21日。この日の二戸市はさわやかな風と快晴に恵まれました。

 墓前祭には日本ローマ字会北海道支部代表の方や二戸市長(小原豊明氏)をはじめ各界の方々、そしてご親戚、田中舘愛橘会の方々など40名ほどが参列。神式の厳かな墓前祭がおこなわれました。
 田中舘愛橘会の丹野幸男会長が博士の御霊に向かい、かつて田中舘博士が留学したイギリスのスコットランドにあるグラスゴー大学へ、丹野会長をはじめ雄志の方々が視察に訪れたこと。貴重な資料の数々にも巡り会えたこと。
そして、グラスゴーアカデミー高へ地元福岡高校の生徒たちの派遣の予定であること。
 もちろん、悲願だった「田中舘愛橘記念館(仮称)」の建設がいよいよこれから本格的に推進されること等々。
実りの多かったこのこの一年間の出来事を報告されました。

 また、「金田一うたのつどい(代表者 中屋落実さん)」のみなさんが田中舘博士の詩を合唱しました。
(曲:佐藤綾夫さん)
「金田一うたのつどい」のみなさんは、毎年墓前祭に出席しています。
これまでにも博士の作詞による「ローマ字のうた」など博士にまつわる歌をたくさん歌っておられます。

博士自身も音楽が大好きで自らもフルートを楽しんだといいます。きっと博士もこの歌声を喜んでおられるに違いありません。
 墓前祭終了後、岩手県立福岡高等学校の体育館に於いて、記念講演会がおこなわれました。

講師は北海道大学大学院理学研究科教授の杉山滋郎先生。
先生は近代日本科学史の研究で有名であり、田中舘博士の研究者です。

講演では、学生たちにもわかりやすいように、パソコンや地球儀などを駆使して話を進められました。

おそらく誰もが初めて目にしたであろう貴重な写真なども沢山紹介されました。
田中舘博士があのキューリー婦人と親交が深かったこと。その縁で外国でも手に入りにくかったラジウムを、いち早く日本に持ち込んだのが田中舘博士であった事など、楽しいエピソードも交えながら、博士が日本の科学界にどのような役割を果たしたのかを教えて下さいました。

ちなみに、博士はその珍しいラジウムをこの福岡高校まで持ち込み、学生たちに実験をしてみせました。

ふるさとを愛してやまなかった博士らしいエピソードです。
ところで、我が母校でもある福岡高校は今年で創立100周年という。
博士の記念講演のおかげで30年ぶりに母校を訪れたが、ほとんど昔の面影はなく「歴史資料館」などがなければこれが本当に福高だろうかと疑いたい程だった。
何故だろうとしばらく考えてみて、そうだあの坊主頭がないからだと気づき、しばらく複雑な気持ちにおそわれていた。

突然、すれ違った女生徒達から、明るく「こんにちわ」と声をかけられた。女子の制服は昔のまんまだ。なんだかホッとした気持ちになった。
「こんにちわ」と応えてから、昔は「ウス!」と大声で挨拶したことを思い出した。 もう30年も昔の話だ。