田中舘愛橘記念館(仮称)


二戸市「街並み・まちつくり総合支援事業」によって、二戸市荷渡地区に「地域交流センター」建設が着手された。
このセンターは、「二戸市の偉人・先人を学びながら市民の交流の場」となることを目的とされている。
その3階に「科学技術館」がつくられ、一部に田中舘愛橘博士の業績等の紹介コーナーが出来るという。開館予定は平成11年1月。
kinenkan1


施設概要によれば、「郷土出身の世界的物理学者、田中舘愛橘博士の業績を素材として、博士の行った研究が現在の科学にどのように開花し、さらに将来どのように発展していくのかを、実験、体験学習を中心に、科学を通して青少年が交流する場」ができる。

約194坪が田中舘記念館(仮称)のスペース。平面図で見る限り15m×33m位の 広さのようだ。そのうち田中舘博士の「歴史」に関するコーナーはおよそ全体の10分の1位、5m×10m程度の広さのようである。
もちろんまだ青写真の段階であろうから、開館するまではわからないが、「歴史」の部分に関してはいささか物足りない感じがする。
(上野の国立科学博物館に保管されていた博士の資料は、「田中舘愛橘会」に引き渡され大切に保管されているが、その数は膨大なものであるという。)

kinenkan2
写真はいずれも
「にのへの都市づくり」より


個人的には流行の先端技術紹介的なビジュアルを駆使したような科学館でなく、きちんと田中舘博士の足跡とその時代が理解できるような記念館であってほしいと願っている。
なぜかといえば、今先端であるはずの技術や施設はあっという間に陳腐化しかねないからである。

平成11年には他に類をみない先端の工夫を盛り込んだ科学館であったとしても、それから5年後、10年後にはどうであろうか。
常に相応の予算が与えられ、毎年何らかの刷新が図られていくなら良いが、もしそれが出来なければ時と共に魅力を失って行くかもしれないからだ。


しかし田中舘博士の業績は時に応じて変わる事はないのだから、これをきちんと残し伝えていって欲しいと思うのである。
いずれにしても、既に事業は着工し始めている。あと1年と数ヶ月首を長くして開館を待っている。(平成10年7月)


はじめのページに戻る