衣装、扮装の苦労

愛橘博士という実在の人、そして明治、大正、昭和という時代を少しでも舞台で感じてもらえるよう、扮装や衣装そして道具類には大変な気を使った。もちろん限られた予算にあってはたかが知れてはいたが、メイクさん衣装さん小道具さん達の工夫や努力のおかげで、それなりに雰囲気が出せたと思う。

例えば美稲さんの髪型。明治時代の資料を漁ってこんな髪型にして下さいと、美容院に泣き込んだという。美稲役乳母役の二人は6時に起きて美容院へ駆け込んだ。

一方、愛橘博士の髭もまた難題であった。博士の写真を参考に、メイクの永田が何度も練習を重ねそれぞれの時代の博士を創り上げた。その出来はまさに博士や美稲さん達が蘇ったのかと思うほどすばらしかった。

実際、博士のご親戚にあたる方が観劇に来られこういった。
「よくまあ、あれほどそっくりに!。でも、博士は劇みたいに腰が曲がっていなかったんです。最後までお元気でしたよ。」と笑いながら教えて下さった。

・日本海軍の軍服は学生服の上に白生地を縫いつけた。肩章や帽子など、それらしく仕上げるために何度も図書館へ足を運んだ。衣装さん有り難う。

・愛橘の妻キヨ子が亡くなるシーンでは、布団の柄、子供の衣類、にハタと困った。まさかカラフルな花柄の布団でもない。結局メンバーの母親に昔を思い出してもらいそれらしい生地を探し、布団を打ってもらったのだ!。

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