ミュージカル「Aikitu」脚本

第一幕 第三場 その1(愛橘博士の寓居前。未来達、美稲と出会う)(ストロボ、爆発音、めまぐるしい照明)
子供たち うわぁ。きゃー。助けて!(などと叫びしゃがみ込む)
恵美  何なのよ一体
幸子  怖いよー
修斗 落ち着けよ。みんな落ち着けよ。なぁ元気。
元気  あ、あぁ。・・・・あれ、みんなはどこへ行ったんだ?俺たち5人しかいないのか?
未来 ここはどこだろう?とにかくみんな離れないでいようよ。
美稲 (美稲、雷でも落ちたかと玄関に現れ)あら、あなた達一体どうしたの?すごい雷だっ
たけど大丈夫?雨は・・晴れてるわね。?
未来 (おそるおそる美稲に)あのう。ここはどこですか
美稲 あら、どこから来たの。この辺の子供さんじゃないの。東京からきたの?
元気 いいえ、僕たちは二戸です。<当時は福岡町なので、一般に福岡ですと言ったろうから>
美稲  ?そう・・。二戸郡のどこかしらね。
恵美  あっ。向こうの鳥居見たことがある。あの石段の上の神社も。まるで呑香(とんこう)神社みたい。
幸子 でも、なんか変だよ。道路も土になってるし・・。まるで昔みたいだよ。
修斗 まさか・・・・タイムスリップ!?
未来 えっ?どうしたの一体?
恵美 タイム・・?うそ!。でも・・。そんな・・。(泣き出す)
修斗 あのう。今は何年ですか。
美稲  え?・・・昭和27年だけど。
子供達 昭和27年?昭和?うそ!ええー?。
美稲 あらあらどうしたの一体。
幸子 あ、あの表札!
元気 何だよ、どうしたんだよ。
恵美 田中舘って書いてある。
美稲 はい。私は田中舘美稲ですが、何か私にご用だったの?
(5人美稲の前を離れ円陣を組みなにやら相談する。やがて、再び美稲の前に行く)
未来 あのう。田中舘愛橘という人をご存知ですか。
美稲 あら、あなた達は父のお参りに来て下さったの。
幸子 父?あなたは愛橘博士の娘さんなのですか?
美稲 はい。そうですよ。
元気  博士に会わせて下さい。お願いします。
美稲 !?・・・私も父に会いたいわ。・・でももうあうことはできません。
恵美  なんで会わせてもらえないのですか?
美稲 ?・・・。父が亡くなってちょうど一月になります。会いたくても会えません。
(5人美稲の前を離れ再び円陣を組み、なにやら相談する。)
修斗 おい、おれたちやっぱり50年前にタイムスリップしたんだ。
ミーネ (突然ミーネ登場)そうよ。
子供達 うわっ。きゃー。さっきの!。(など驚く)
ミーネ 落ち着いて。私はミーネ。私はみんなを助けに来たの。
幸子 助けに?でも私たち、けがなんかしていないわ。
ミーネ いいえ。さっきのユートンとの戦いで時間がひずみ、私たちは50年前にはじき飛ばされたの。そして今日は博士が亡くなられて、ちょうど一ヶ月後の昭和27年6月21日よ。
恵美 うそ、どうしよう!(子供達同様に混乱する)
ちなみに、愛橘博士は、学士院葬として、東京大学の安田講堂でお葬式が行われた。安田講堂でお葬式を行ったのは、後にも先にも愛橘博士だけだったとか。

その後、地元福岡町(現岩手県二戸市)で町葬が行われた。これには3000人の人々が参列したという。
ミーネ 大丈夫。私がみんなを守るから、心配しないで。(美稲に歩み寄り)あの、お願いがあります。
美稲 はい?、何でしょう。
ミーネ この子達に、いいえ私たちに愛橘博士のお話を聞かせて下さい。
美稲 (みなを見回してにっこり)・・はい。喜んで。(暗転)
 

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