ミュージカル「Aikitu」脚本

第一幕 第三場 その2 愛橘6〜7才}愛橘C(美稲、子供達。上手サス)
 
伴奏音楽2 序曲(旭日のサムライ)
美稲 田中舘愛橘は安政3年9月18日に生まれました。
元気  安政?安政って?
ミーネ 1856年。あなたの時代から146年前。この頃はまだお侍の時代だったのよ。
美稲 田中舘家は代々南部藩に仕え、福岡で兵法指南役の家柄でした。愛橘は5歳で母から文字を習い、小さな木刀を手に、武士の修行に励んだそうです。父愛橘は、侍の子として、厳しい修行を受けたのです。
修斗 兵法って?
ミーネ そうね、軍事教練
幸子 軍事教練?なにそれ。
ミーネ まあ、戦い方を教える先生ってことね。
 
(舞台照明入る。まだ6才の愛橘、手桶を運んでいる。その後ろからそっと大人の武士{下斗米軍七}近づき、いきなり押し倒す。愛橘たまらず倒れる。)
伴奏音楽3 修行
 
愛橘 あっ。なにする!。
軍七 こら愛橘!。ころぶのぁ油断してるすけだ。何の為に今まで稽古やって来た!
愛橘 (あわてて起きあがって)おじさん!。いいえ、軍七先生!
軍七 いいが。こう押されだら、そのまんま前さ踏み出して構えろ。(二人何度か形を繰り返す)
これが、大作先生の実用流の極意だ。わかったか。
愛橘 はい。今度は必ず切り返して負げません。
軍七  うむ。お前は田中舘の血を継ぐ男だ。うんと修行を積まねばだめだぞ。よいな。
愛橘 はい。愛橘は立派なサムライになります。
軍七 よう言うた。サムライはお国の為に命をかけるものだ。うん。では、しっかりと鍛えろ。さあて、これから馬の稽古さ行ぐが、お前も行ぐが?
愛橘 はい。あ!行きたいども・・。
軍七 なした。具合でも悪いか?
愛橘 このあど、和漢の勉強だすけ・・。(力無くうなだれる)
軍七 ・・・・・そが。和漢は苦手か。まだちゃっけぇお前さば、うんと難しいか。
愛橘 馬だば乗れます。馬だば大好きです。
軍七 うん。だどもな、武士は文武両道だ。勉強もまた大事だんだ。小保内定身先生は、お前の伯父さんだども南部一づう位うんと立派な人だ。幸いと思って辛抱して励め
愛橘  (元気なく)・・・はい。
軍七 ははっは。勉強が終わったら馬さ乗せてやるすけ、しっかどやって来い
愛橘 馬さ?本当だでが!。だば、行ってきます(礼をし、愛橘飛び出す)
軍七 はっはは。男わらしぁきかね位が丁度いがべ。はっははは。(照明落ちる)
 

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