ローマ字について

ローマ字について、とりあえず自分の知っている範囲で書いてみる。

ローマ字は「ラテン語を表記する単音文字。フェニキア文字から発達したギリシア文字に由来し、現今は主として欧米諸国で用い、ラテン文字と称する。」と広辞苑にあった。
ま、難しいことはさておき、アルファベットで表現する文字だと思えばいいだろう。

だが、ここでいうローマ字とは、日本の国字をローマ字を用いて表現するものである。
同じ広辞苑の次の項目には、ローマ字綴りとして、「ローマ字で国語を綴ったもの。室町時代に渡来したポルトガル宣教師から始まり、明治に至ってローマ字運動(羅馬字会)がおこった。現在、綴り法に標準式(ヘボン式)・日本式・訓令式の三種がある。」と説明されている。

 もともとは、外国人が日本にやって来て「耳で聞いた日本語を、母国の発音に似た言葉の綴りで書き記した」ものがそのルーツらしい。
(これは英語の歌にカタカナを振って歌おうという行為と基本的に同じだ。)だから、いろんな綴りがあったらしい。
時代の移りに従ってポルトガル、オランダ、そして英語などで綴られたローマ字。だが、それぞれに長所短所もあった。中でも有名なのがヘボン式であるが、それで日本語をそのまま置き換えれば済むというものではなかった。

 愛橘博士らは日本語の発音や構成といった言語そのものを注意深く研究し、ついに日本式ローマ字を定めたが、それ以上に普及の苦労を重ねた。

 博士は貴族院議員(今の国会議員)もつとめたが、発言が許される度に「ローマ字」の事を話したという。ある時、博士に講演依頼があったが、出された条件は「ローマ字の話は出さない事」であった。これを聞いた博士は、「ローマ字の話が出来ないなら、その講演はお引き受けできない」と言ったという。
 博士は貴族院議員時代の報酬を全てローマ字会のために振り向け、ローマ字の普及に力をつくしたという。

ヘボン【James Curtis Hepburn】
アメリカ長老教会宣教師・医師。一八五九年(安政六)来日、神奈川に施療院を設け、最初の和英・英和辞典(和英語林集成)を完成、ヘボン式ローマ字を創始。聖書の日本語訳に参加、明治学院最初の総理。九二年(明治二五)帰国。日本名、平文。ヘプバーン。(1815〜1911)

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